ニュージーランドを初訪問、南北両島を車で無理やり巡る弾丸ツアー④『初めてのニュージーランドで気づいたこと』/The first visit to New Zealand, Bullet tour to drive both of North and South Islands③“What I noticed at my first New Zealand”
ここでいったん旅程から離れて、初めてニュージーランドを訪れて感じたことをまとめてみます
1.車は左側通行、ガソリンはリッター当り260~270円
ニュージーランドはオーストラリアと同じく車は左側通行。日本人にはお馴染みの左側通行だけど、多くの外国人にとっては大問題らしい。レンタカーを借りるときには、「あなたは左側通行の経験がありますか」、「どのくらい左側通行に慣れていますか」、「(交差点の図を見せて)この場合にはどちらの車が優先ですか」などの質問票をタブレットで回答し、最後に「自己責任」の署名までしなければならなかった。
ちなみにガソリン料金はリッター当り260~270円程度。日本に比べてかなり高額だ。世界的変動にはなにごとにおいても出遅れる日本の政策だが、ガソリン価格の抑制だけは頑張っているんじゃないか。
1.Driving on the left side and gasoline costs around 260-270 yen per liter
New Zealand, like Australia, follows left-hand driving. Although it’s common for Japanese people, it seems to be a significant concern for many foreigners. When renting a car, I had to answer questions such as, ‘Do you have experience driving on the left side?’ and ‘How familiar are you with left-hand driving?’ There was also a scenario presented at an intersection to determine right of way, and I had to sign a waiver acknowledging personal responsibility. Gasoline prices are around 260-270 yen per liter, significantly higher than in Japan. Despite Japan’s slow response to global fluctuations, they seem to be working hard to control gasoline prices.
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2.ほぼ完全なキャッシュレス社会、現金はほぼ必要なし
国内はほぼ完全にキャッシュレス社会で、大げさではなくガム1枚までクレジットカードで買える。現金を使う場面はほとんどなく、数年前にアイスランドに旅行した時を思い出した。公衆トイレなども有料のものは見当たらなかったし、チップの習慣もないので、旅行中は現金をまったく持たなくても何とかなりそう。NZドルは交換手数料も高いし(米ドルは売り買いで2円のスプレッドだが、NZドルは7~8円)、空港で両替するのは本当に緊急事態の時のために数千円程度でいいのではないか。
3.南島は中国人観光客でいっぱい!
南島、特にマウントクックの周囲は中国人でいっぱい、Ormaruのブルーペンギンの施設も、片方の観覧席は中国人の団体で貸し切り状態、臨時に中国語の通訳まで雇われていた。どこへ行っても中国人のグループに出くわし、いくつかのグループと話をして様子を見ている限り、グループの多くはすでにニュージーランド(またはオーストラリア)に住んでいる親戚のもとを中国本土から一族が訪ねているという形態が非常に多いようだった。ひょっとして中国の富裕層が近い将来の移住を見据えて下見に来ているのかもしれない、と想像を巡らせてしまった。あまりに多くの中国人移民が大挙してやってくるようだと、思わず19世紀アメリカの「黄禍」のような社会問題を思い浮かべてしまうが、ニュージーランド国民はきわめて優しく見守っているみたいだ。空港や公共施設などの案内でも、英語(もしくはマオリ語)の次に来るのは必ず中国語だ。例にもれず団体になった中国人は非常に行儀が悪いが、現地の人間にそれほど差別意識や不快感があるようには見えなかった。
4.物価水準は低い方だと思うが、外食費はかなり高い
物価水準は主な先進国の中ではけっこう低い方だと感じた。特に宿泊費用は(シーズンオフの影響もあろうが)ハワイに比べると体感で1/3くらいだ。旅行者にはとても嬉しい状況。ただ先にも書いたようにガソリンは日本に比べて6割くらいは高いし、特に外食は日本とはまったく水準が違う。夕食は軽めのメニューでも$NZ50(≒4,500円)くらいはかかるし、朝食はカフェで$NZ25(≒2,250円)前後。290円(≒$NZ3.2)で朝定食が食べられる日本はニュージーランド人にとっても別世界なんだろう。下左はRotorua(北島)のカフェで食べたフレンチトースト、左はTwizel(南島)のカフェで試した具だくさんのオムレツだ。
5.人々は実にフレンドリーで優しい人ばかり
決しておためごかしではなく、ニュージーランドで出会った人々はいずれもフレンドリーで優しい人ばかりだった。今までに世界中の国を周ってきたけど、ニュージーランド人のホスピタリティと親切心は強く印象に残った。
一つエピソードを明かすと、帰国直前にAuckland空港の駐車場の精算機で料金を払おうとしたが、機械がさっぱり日本のクレジットカードを認識せず、チケットを取り出すこともできない。後ろに並んでいる現地の人に恐縮していたら、彼がサッと自分のクレジットカードをタッチさせて精算してくれた。「たった$4さ、気にしないで」と言ってくれたけど、ちょうど相方が$2コインを2つ持っていたので、「実はこれからこの国を離れるんだ、あなたは最後のコインを使う最高のチャンスをくれた」と言って彼に渡した。彼もニッコリ、こういう一期一会っていいですね。
6.オーストラリアとの違い、特に先住民との共存について
北半球に住む自分たちから見たらオーストラリアとニュージーランドは、“お隣さん”同士で共通点も多いように見える。しかし地学的にも、歴史的にも、両国の相違は鮮明なようだ。たとえばオーストラリアの先住民はアボリジニー、この民族は約6万年前の第四氷河期に東南アジアから渡ってきて、オーストラリアの厳しい環境に順応して生きてきた。実際に現在のアボリジニーの人々を見ると、非常に色が黒く一見するとアジア系と言うよりもアフリカ系の民族かと見まがうほど。ここまでアジア系から外見が変わっていくには数万年のオーダーが必要だったのか。これに対してニュージーランドの先住民はマオリ族で、彼らは11世紀頃にクック諸島かタヒチから渡ってきたポリネシアンであろうとされている。こちらはその外見や慣習、文化などは現在のポリネシアンと非常に似通っている。不思議なことに17世紀以降にヨーロッパ人がニュージーランドを訪れた時、マオリの人々はオーストラリアの存在を知らず、アボリジニーとも交流がなかったそうだ。“すぐ隣同士”という日本人の認識ではとても信じがたいことだが、海流などの関係で2つの陸地はお互いに断絶が続いていたのか、考えてみれば大航海時代の欧州がオーストラリアを“発見”してからニュージーランドも見つけるまで100年かかっていることからも、実は両者の間には越えるに越えられなかった地理的な断絶があったのか。どなたか事情に詳しい方がおられたらぜひご教示を。
同じく先住民に関して両国で大きな違いを見せているのが、白人移民と先住民との関係だ。オーストラリアでは最近になって融和政策が進んだとは言え、1788年のイギリス人の入植以来、先住民のアボリジニーの歴史は常に白人による差別と搾取に彩られていた。初期には「アボリジニー狩り」という残虐行為で人口を激減させ、20世紀に入ってからも“保護”という名目による過激な「同化政策」などで家族をバラバラに収容され民族としてのアイデンティティを奪われていった。戦後になってオーストラリア国民としての権利が認められ、さらに1993年の「先住権原法(Native Title Act)」の成立によって古代から続く土地の継承権などが認められるなど、アボリジニーの権利が徐々に認められ、社会的にもアボリジニー文化にスポットが当てられ始めているが、アボリジニーの人々がいまだに国民として100%の権利と生活が認められているとは言えなそうだ。以前にオーストラリアを訪問した時にも、人里離れた山の中にまるで収容所のようなアボリジニー居留地を見つけたりした。一見してアメリカで見たネーティブアメリカンの居留地を思わせる作りだった。
これに比べるとニュージーランドではイギリス人の入植が始まるかなり早い時期の1840年に「ワイタンギ条約」が英国君主と500を超えるマオリ部族の間で結ばれ、お互いの権利を定めることに成功している。もちろん同条約においてすべてが解決したわけだはなく、翻訳自体が互いに不十分だったり、地域によっては小競り合いが続き最終的には「マオリ戦争(1859~1881)」が引き起こされたりしたものの、少なくとも先住民のマオリがアボリジニーのように“人間以下”の存在として駆逐されたりした歴史は見当たらない。ニュージーランドのナショナルラグビーチーム「ALL BLACKS」が試合前に必ずマオリの戦いの踊り「ハカ」を披露したり、多くの公共施設でマオリ語のサインが併記されていたり、現代のニュージーランドでマオリの伝統、文化はきわめて大きな地位を占めている。こうしたオーストラリアとの違いはどこから来たのだろうか。
まったく想像の域を出ないが、一つには彼らの外見もあったかもしれない。ヨーロッパ人がやってきたばかりの頃、多くのアボリジニーは家屋を持たず大地に寝て、動物、昆虫を石器で追いかけるというまさに石器時代の生活をしていただろう。もちろんそうしたライフスタイルがオーストラリアの大地では最も適していたからに他ならないのだが、尊大な欧州人には彼らが共存に値しないレベルの野蛮人に見えたのかもしれない。また入植当初のイギリスはオーストラリアを“囚人の流刑地”程度にしか考えていなかったため、同地で持続可能な社会体制を築いていくことに無頓着だったところもあるのか。
ニュージーランドのマオリはイギリス人にとってみれば“土人”のような風体だったかもしれないが、集落を構え独自の文化を営み、何よりも“戦士”としてきわめて勇敢だった。17世紀に初めてニュージーランド沿岸に到達したオランダ人のタスマン一行は、小舟に乗ったマオリの集団と遭遇し意思疎通を試みたものの、誤解が生じて小競り合いになり4名の船員を殺されたらしい。その後イギリス人を始めとしたヨーロッパ人と交流するうちにマスケット銃が数多く輸入され、マオリの“戦闘力”も一段と向上した。またニュージーランドに入植するヨーロッパ人はその多くが新天地で事業を興す夢を持った人たちで、いたずらに先住民ともめるよりも、安定した地域の土台を望む気持ちが強かったのではないか。
いずれも素養のない旅行者の先入観による空想ですので、知見をお持ちの方がいればぜひ教えを受けたいと考えています。
7.南北両島をドライブして得た結論
今回の旅行では、南島と北島を合計2,000㎞以上ドライブした。そこから得た結論は、
<ニュージーランド人はとてもよく眠れるに違いない。なぜならこんなに多くの羊がいるんだから>
お粗末様でした・・・
1.Driving on the left side and gasoline costs around 260-270 yen per liter
New Zealand, like Australia, follows left-hand driving. Although it’s common for Japanese people, it seems to be a significant concern for many foreigners. When renting a car, I had to answer questions such as, ‘Do you have experience driving on the left side?’ and ‘How familiar are you with left-hand driving?’ There was also a scenario presented at an intersection to determine right of way, and I had to sign a waiver acknowledging personal responsibility. Gasoline prices are around 260-270 yen per liter, significantly higher than in Japan. Despite Japan’s slow response to global fluctuations, they seem to be working hard to control gasoline prices.
2. Almost a cashless society; cash is rarely needed
New Zealand is almost entirely a cashless society, and even small purchases, like a piece of gum, can be made with a credit card. There were very few instances where I needed cash. Public toilets, for example, were free, and the country does not have a tipping culture. So, it seems possible to get by without carrying much cash. Exchanging NZ dollars comes with high fees (compared to the 2-yen spread for buying and selling US dollars, NZ dollars have a 7-8 yen spread), so exchanging only a few thousand yen in case of emergencies might be sufficient.
3. South Island is filled with Chinese tourists!
South Island, especially around Mount Cook, is full of Chinese tourists. Even the Blue Penguin facility in Oamaru had one observation deck rented out exclusively for a Chinese group, complete with a Chinese interpreter. I encountered Chinese groups everywhere, and after speaking with some, it appeared that many were visiting relatives who already live in New Zealand (or Australia). The numerous Chinese immigrants visiting their extended families may be scoping out the area for potential future immigration. The influx of wealthy Chinese individuals exploring the country could lead to social issues reminiscent of the ‘Yellow Peril’ in 19th-century America. However, it seems that New Zealanders are welcoming and supportive. Information in airports and public facilities is often provided in Chinese, following English (or Maori). While some Chinese tourist groups display poor behavior, there doesn’t seem to be a noticeable discrimination or discomfort among the locals.
4. The cost of living is relatively low, but dining out is quite expensive
The overall cost of living felt relatively low compared to other developed nations. Accommodation costs, especially during the off-season, are approximately one-third of what you might experience in Hawaii. This is a favorable situation for travelers. However, as mentioned earlier, gasoline is about 60% more expensive than in Japan. Dining out, in particular, is at a completely different level than Japan. Even with a light dinner menu, it can cost around $NZ50 (approximately ¥4,500), and breakfast at a cafe is around $NZ25 (approximately ¥2,250). In Japan, where you can have a morning set meal for ¥290 (approximately $NZ3.20), it must feel like a different world for New Zealanders. The bottom left image shows French toast I had at a cafe in Rotorua (North Island), and the left image shows a hearty omelet I tried at a cafe in Twizel (South Island).
5. People are incredibly friendly and kind
This is not an exaggeration – the people I encountered in New Zealand were all incredibly friendly and kind. Despite traveling to many countries worldwide, the hospitality and kindness of the New Zealanders left a strong impression. Let me share an episode: just before returning home, I tried to pay the parking fee at Auckland Airport using a machine, but the machine couldn’t recognize my Japanese credit card, and I couldn’t retrieve the ticket. Feeling embarrassed with the local person waiting behind me, he quickly touched his credit card to the machine and settled the payment for me. He said, ‘It’s just $4, don’t worry about it.’ However, as my partner happened to have two $2 coins, I said, ‘Actually, we’re leaving the country now, and you’ve given us the perfect opportunity to use these last coins,’ and gave them to him. He smiled, and it was a nice moment of ‘one-time encounter,’ as they say.
6. Differences between New Zealand and Australia, especially in terms of coexistence with native tribes
From the perspective of someone living in the northern hemisphere, Australia and New Zealand seem like neighboring countries with many similarities. However, there are clear differences geographically and historically between the two. For instance, Australia’s indigenous people, the Aboriginals, arrived about 60,000 years ago during the fourth glacial period, migrating from Southeast Asia. The Aboriginals have adapted to Australia’s harsh environment and, in appearance, their skin is very dark, resembling more of an African ethnicity than Asian. The Maori, New Zealand’s indigenous people, are Polynesians who arrived around the 11th century, likely from the Cook Islands or Tahiti. Their appearance, customs, and culture closely resemble present-day Polynesians. Interestingly, when European explorers visited New Zealand from the 17th century onwards, the Maori were unaware of Australia’s existence, and there was no interaction with the Aboriginals. It’s hard to believe this from a Japanese perspective of being ‘neighbors,’ but considering the influence of factors like ocean currents, the two lands may have been geographically isolated from each other. It took about a century from the European “discovery” of Australia in the Age of Exploration for New Zealand to be found, indicating a significant geographical disconnect between them. If anyone has more information on this, I would appreciate your insights.
Both countries exhibit significant differences in the relationship between white settlers and indigenous peoples. In Australia, despite recent efforts towards reconciliation, since the British settlement in 1788, the history of Aboriginals has been marked by discrimination and exploitation. Early on, brutal acts like the ‘Aboriginal hunt’ severely reduced the population, and in the 20th century, aggressive ‘assimilation policies’ under the guise of ‘protection’ separated families and deprived them of their ethnic identity. Post-war recognition of Aboriginal rights as Australian citizens and the passage of the Native Title Act in 1993, acknowledging inheritance rights to ancient lands, have gradually recognized Aboriginal rights, shedding light on Aboriginal culture in society. However, it cannot be said that Aboriginal people are fully recognized as citizens with 100% rights and lifestyle. During a previous visit to Australia, I encountered Aboriginal settlements in remote mountains that resembled camps, similar to Native American reservations seen in the United States.
In contrast, New Zealand began its British settlement quite early, around 1840, and successfully negotiated the Treaty of Waitangi between the British monarch and over 500 Maori tribes, establishing mutual rights. While the treaty didn’t resolve everything, and there were skirmishes and the ‘Maori Wars’ (1859–1881), at least there is no history of Maori being driven out like the Aboriginals. Maori traditions and culture hold a significant place in modern New Zealand, with the national rugby team ‘ALL BLACKS’ performing the Maori war dance ‘Haka’ before matches, Maori language signs in many public facilities, and a strong presence of Maori culture.
Imagining the reasons behind these differences is purely speculative. One factor could be their appearances. In the early days of European arrival, many Aboriginals likely led a Stone Age lifestyle, without permanent homes, sleeping on the ground, and using stone tools to hunt animals and insects. Although this lifestyle was well-suited to Australia’s vast land, it might have made them appear as primitive beings to the arrogant Europeans. Additionally, during the initial European settlement, Australia was seen more as a ‘convict exile’ than a place to build a sustainable society, which might have led to a lack of concern for establishing a stable societal foundation.
Maori in New Zealand may have appeared ‘primitive’ to Europeans as well, but they formed villages, engaged in unique cultures, and, most importantly, were highly brave ‘warriors.’ When the Dutch explorer Tasman arrived on New Zealand’s coast in the 17th century, his encounter with a group of Maori in canoes led to a misunderstanding and a skirmish, resulting in the death of four crew members. Subsequent interactions with European settlers, including the importation of numerous muskets, significantly enhanced the Maori’s ‘combat effectiveness.’ Moreover, many European settlers arriving in New Zealand were individuals with dreams of establishing businesses in a new world, desiring a stable regional foundation rather than unnecessary conflicts with the indigenous people.
These are all speculative thoughts based on the preconceptions of an unqualified traveler. If anyone has more knowledge, I would appreciate your guidance.
7. Conclusions from driving both the North and South Islands
During this trip, I drove more than 2,000 km across both the South and North Islands. The conclusion drawn from this is,
‘New Zealanders must sleep very well; just look at how many sheeps there are!’
Thank you for your patience…